アキバの電気製品や音響機器取り扱い店の店舗数は減少傾向にありますが、絶対に消えないだろうと思われるのが、電材・コネクター・電子部品・電気工具類などを販売するショップです。また、電気設備・音響設備の設計施工業者も不滅でしょうね。もっとも、こちらの場合は、業務用機器で、数多くの法人顧客がいる場合のことですが。同じように、セキュリティシステムの販売・取り付け業者も永く生き残れるでしょう。1955年5月にラジオセンターで創業した国際テレビジョンは、1970年10月に社名をトモカ電気としてラジ館内に設立しました。
トモカ電気は、いわゆる戦後の闇市組ではありませんが、テレビ黎明期と同調するように業績を上げた会社です。アキバのDNAのなかにオプションに応じるがあります。わがまま注文に応じられることを意味します。音響機器などはホールに最適化する設計・施工が大切ですし、ケーブル一つの不具合にも、即時に対応できる柔軟性が必要です。トモカの強みは、そうしたことへの対応力だと思います。受信機器やセキュリティ製品などのなかには、いわゆるグレーゾーン商品があります。盗聴発見器と盗聴器はいたちごっこの関係にあります。トモカはどちらにも応じられます。
アキバもそうですが、現在、世界中のショップがグローバル資本主義の荒波と戦っています。家電量販店はおそらく7月のアナログ放送停波以後、先取りしたエコポイント利益を吐き出すビジネスに変わるだろうと思われます。また、家電メーカーはガラパゴスにさようならして、スケールメリットを追求するビジネスのために、業務提携や買収などが頻繁になるだろうと考えられます。そうした時代に入っても強いのは、顧客のわがままに応じられる体制を持つ企業です。デルがパソコンの世界でアレだけのシェアを維持できるのはBTOに徹した結果です。今後のアキバの電気関連ビジネスは、トモカのようなビジネスモデルを見習うべきだと思います。
秋葉原MADは、その店頭アナウンスを聴きにいくだけでも価値ある怪店舗です。ショップサイトのトップページには「ハナのアキバに30年」と書いてありますが、小生が同店の存在に気づくようになったのは現在の場所で営業を開始してからです。MADルールはいろいろあって、「店内通路での飲食、商品の開封、メモ書き、写真撮影、携帯電話、濡れた傘の持込みは断固禁止! 違反者は生命の保証なし、携帯電話は電源を切ってカバンかポケットの中に。もし、手に携帯電話をお持ちの場合、破壊します。上記入店条件を承諾した方のみ御入店ください。上記入店条件を承諾できない方は入店お断りします」ときたもんだ。
店頭アナウンスは、店長による、過激発言のマシンガントークです。あまりの下品ぶりにコレクターがいるのではないでしょうか? はっきりいってアキバのメインストリート中央通りの路面店で、おいおい大丈夫か、他国の悪口、司直の批判、実名あげての政治家に対する罵詈雑言を繰り返してと感じます。店内では写真にあるような商品を販売しています。これはあくまで噂ですが、同店でナイフを購入した客が、すぐにパトロール中の警官に呼び止められ、職質されたそうとか。まっ、ソレはあるだろうナと思わせるアナウンスをしていますからねぇ。
MADのMADらしいところは、元ロケットのシャッターまで実効支配してしまうところです。もしかしたら、家主の許可を得ているのかも知れませんが、売るためならアグレッシブな行為に走る姿だけなら模範といえるかも知れません。小生はMADで、講演用のレーザーポインターや格安ラジオなどを購入したことがありますが、興味をそそられたのはグレーゾーングッズです。何に使うのか、分かるヒトだけ分かる「HDMIフルデジタル画質補正機」「USB接続3波デジタルチューナーPX-S3U」「プロ用盗撮発見器」などなど。一体全体、どのような方たちが購入されるのでしょうね。
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お元気ですか、社長 |
アキバの電気街改札口に最も近いショップに「トキワムセンがあります。LABI秋葉原パソコン館のビル(当時はサトームセンです)のほんの片隅の場所ですが、ゲーム機に関していえば、メッセサンオーと同程度の歴史あるアキバの老舗です。何10年も前には、この隣店は「ライオン電機」があって、小生はソニーのヘルパーとして、Walkmanなどのゼネラルオーディオを販売していました。同時期にマイコンブームが起こり、たまたま商品知識のあった小生は、ソチラも担当するように命じられました。日本ソフトバンク(現ソフトバンク)の創業時期に相当します。PC-8001、MZ-80Bなどを販売し、MZ-2000が右から左に売れていた時代です。
トキワムセンは、小生がソードのM-5の店頭デモプレイをしている横で、ファミコンに関連した商品を販売していました。コレが大当たり。ライオン電機は社長が多角経営で失敗して、閉店しましたが、ファミコンやスーファミ販売という時流に乗ったトキワムセンは順調な経営を続け、今日まで続いています。80年代の電気街は、駅構内から出れば客引きおじさんたちが、「何かお探しですか?」と声をかけ、若々しい津軽がうろつき、青果市場から逃げてきたドブ鼠が走り回っていました。週に一回は救急車も来ていましたね。もちろん、アキハバラデパートも元気な時代でした。
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LABIはビジネスに徹します |
テレビゲーム専門店の老舗の地位を確立したトキワムセンですが、規模の経営で他店を呑み込んできたヤマダ電機に嫌味ったらしい攻撃を受けています。もちろん、自店領域でのビジネスですから合法的な行為ですが、トキワムセンの右横で、ゲーム機の販売を開始したのです。現在はXBOX360やPS3などの箱を積み上げて価格攻勢で攻めていますが、過去のアキバでは見られなかった過剰シーンだと述懐します。そういえばヤマダがツクモを傘下にしてから、裏通りのPCパーツ価格が荒れはじめています。「T-ZONE DIY SHOP」の閉店にも影響したのではと推察しています。
ずいぶんブログ更新をサボっていました。茫洋と気分でアキバを歩いて、興味ある対象を撮影したり、店員やメイドちゃんのお話を聴いてみたりしたのですが、どうもアキバ全体のモチベーションが下がっている気がしたんです。1月23日からホコ天が再スタートしますが、コレも管理されたホコ天になりそうで、あまり期待できそうにありません。小生はアキバの雑然たる空気が好きなのですが、アトレ1ができて以降、雑然感も薄くなってしまった気がします。秋葉原タウンマネジメントの皆様たちが歓迎すべき状況になりつつあるのでしょうが、「オレのアキバは?」と80年代に思いがはせるのです。
コレは身体に刺激を与えないといけないナと思い、トプカに行きました。入り口で「ポークカリー」と食券を購入しようとすれば、「辛いけど大丈夫ですか?」のいつもの挨拶。「はい、大丈夫です」と答えましたが、はっきりいって自信がありません。トプカのカレーは、まずカレールーを食べつくすことから始めます。御飯と混ぜると、口腔内の辛さが凶暴になり、相当の辛口好きでなければ完敗します。何度かトライしているうちに見つけた、トプカの「印度ポークカレー」(850円)の攻略法です。インド人(だと思います)の店員さんの言葉ですから、「大丈夫か、オレ」と考えるヒトもいるのでは。
交通博物館の建物も無くなり、小生のアキバ原風景が、どんどん淡い色になっていきます。すぐに配膳されたカレースープを飲みながら、エスニックな雰囲気を醸し出している店内を見回します。トプカの辛味にハマった方が、何人も入店されたり、退店されたり。やってきました、油断すると逃避を余儀なくされるカレーが。深皿には船形のご飯が島のように浮かび、豚肉がゴロゴロとカレー内に転がり、じゃがいも、人参、茄子、ブロッコリーも入っています。スプーンでルーをすくい、口のなかに入れたら、ひたすら、ルーを飲み干す作業に邁進します。コレだけでも、ヒーヒーと口腔内が痺れます。さあ、完食できたかどうか…。トプカを知らないヒトは、一度は挑戦してみてください。